2020/2/11
40代 女性 (つくば)
ご依頼者様は、長く夫と別居していましたが、夫の方から離婚調停を提起されました。調停は弁護士に依頼せず、ご自身のみで頑張られたようですが、調停不成立となってしまい、夫側が離婚訴訟を提起してきました。そこで、ご依頼者様は訴訟対応を法律事務所つくばコムへ依頼されました。
・退職金の半分を財産分与として認めてもらいたい。
・離婚までの生活費を適正な範囲で請求したい。
・慰謝料を払う理由はないし、経済的にも支払う余裕はない。
離婚訴訟の対応を開始すると同時に、婚姻費用を請求する調停の申立てを行いました。婚姻費用の支払いは離婚が成立すればストップしてしまうものですから、早急に提起したうえで、かつ早期に調停を完遂する必要がありました。婚姻費用分担調停の成立まで数カ月を要しましたが、十分な内容で調停成立させることができました。
(結果的には離婚訴訟の方につき、高等裁判所へ控訴されたため離婚成立までに時間を要し、やはり早期に婚姻費用調停を提起しておいた効果があった事案でした。)
離婚訴訟における主な争点は、①退職金が財産分与対象となるか(財産分与対象財産のほとんどを占めておりましたので、これが対象外とされるとほとんど財産分与を受けられない危険がある事案でした。)、②離婚原因とその責任の所在(慰謝料が発生するか否か)、という点にありました。
①について、本件は一般的な会社員とは異なる特殊な仕事に就かれていた案件であり、また一般的な退職年齢を60歳や65歳とすると退職年齢まで数十年を要するものだったため、通常の裁判では財産分与を認めさせるにはかなり高いハードルがあったといえます。
しかしながら、これが認められなければ長年の婚姻生活における妻の貢献は結果的にほぼなかったと同然になってしまいます。
そこで、本件事案の特殊性に則して論理構成を行い、結果的には第一審判決で1500万円の財産分与を認めていただくことができました。
ただし、第一審判決は離婚原因に関する責任は妻側の方が重いとして慰謝料の支払いを命じました。
そこで、原告被告ともに控訴を申立て、東京高等裁判所で再度審理を行うこととなりました。
東京高等裁判所において財産分与は第一審判決を維持して1500万円、一方、慰謝料はゼロとする和解を成立させることができました。
第一審において夫側の慰謝料請求が認容されてしまったのは遺憾でありましたが、控訴審で何とか挽回することができ、ほっとした事案でした。
訴訟段階から終局まで約2年
※プライバシー保護の観点から、個人情報等を一部修正しております。
平成29年7月3日
茨城・つくばの法律相談は法律事務所つくばコムへお気軽にどうぞ