2020/2/11
40代 女性 (つくば)
ご依頼者様は、夫からのモラルハラスメントや家計・育児への非協力などから離婚を決意され、法律事務所つくばコムへ相談にいらっしゃいました。
夫婦ともに定職に就かれておりましたが、予定される退職金の額に大きな差がある点や(ただし退職金支給は15年以上先のこと。)、自宅不動産があるものの、原資不明瞭な繰り上げ返済があったり、住宅ローン残高も相当程度残っているといった事情から、財産分与の問題で紛糾することが予想される事案でした。また、相手方の夫も親権を主張しておりましたので、これも双方主張が真っ向から対立する大きな問題でした。
なお、夫側は、夫の給与収入をもって家計を支えてきたなどとして、妻へ分与すべき財産などないと主張していました。
・親権は譲れない。
・離婚までの生活費と離婚後の養育費を請求したい。
・退職金の支給はまだまだ先のことだが、これも財産分与においてきちんと分割してもらいたい。
・子どもとの面会について適切なルールを定めたい。
まずは、離婚までの生活費を確保するため婚姻費用の請求と裁判(調停)を行い、同じく調停で子との面会交流について裁判という正式な手続きの中でルールを定めました。しかしながら、相手方はその後も親権について譲ることがありませんでした。さらに相手方は自宅不動産取得を強く希望していたところ、その代償金を用意することができず、自宅不動産を取得しつつ財産分与も行わないなどと主張してきたため、離婚問題について和解による解決は困難と思われ、訴訟を提起し、判決獲得に向けて手続きを進めることとしました。
訴訟の終盤になって、夫側の代理人弁護士から、妻による使途不明金の存在が指摘されたために、これに対する反論・説明をすることに相応の時間を要しました。実際には不当な浪費や使途不明金など存在しないのですが、それを証明することは容易でないケースが多いものです。
このように、当方としてはひとつひとつ相手方の疑念に対する説明と証明(証拠提出)を行い、法律論からしても当方の主張に正当性が認められる旨主張を尽くしました。
しかしながら、裁判所が終盤に出した和解案は、相手方の夫側に代償金を用意する資力が不足するという事態を不当に重視したのか、300万円のみ財産分与で支払ってもらうのでどうかなどと提案してきました。この裁判所和解案について当方は、法律的に相当な根拠はないものと判断しました。
そのため、当方としては和解を拒絶せざるを得ず、そこからさらに相手方代理人と直接交渉等を行うと同時に裁判所に対しては判決を求めました。
結局は、裁判所和解案が出た後も粘り強く交渉を続けた結果、ほぼ当方の主張するとおり、財産分与800万円を支払ってもらうかわりに自宅不動産を譲る(住宅ローンは相手方負担)、親権は妻側が取得する、養育費も算定表に基づき支払ってもらう、年金分割も認めるとの条件で裁判上の和解による離婚が成立しました。
解決までに相応の時間を要しましたが、不相当に低額な財産分与の提示を拒絶したことで、ようやく正しい結論を導き出すことができました。
訴訟提起から終局まで約11か月
※プライバシー保護の観点から、個人情報等を一部修正しております。
平成29年6月8日
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